ジフテリアはジフテリア菌の感染によって起こる急性伝染病で、菌が
侵入した局所の偽膜病変とジフテリア毒素によって生ずる病変に大別さ
れる。咽頭ジフテリアは、発熱、嘔吐、頭痛及び咳嗽等を主症状とし扁
桃に偽膜をみる。重症例では偽膜部の壊死を起こし悪臭を放つ。咽頭ジ
フテリアの特徴は嗄声、犬吠様咳嗽である。鼻ジフテリアは鼻炎ととも
に鼻汁に血液が混じ鼻孔周囲にびらん、血痂をみる。毒素による症状に
は心筋炎、神経麻痺がある。心筋炎は心筋、伝導系及び血管運動神経が
ジフテリア毒素により侵され、多くは発病2〜3週後に発症し突然心筋
障害で死亡することがある。神経麻痺にはジフテリア毒素が末梢神経に
作用するために起こる。軟口蓋、眼筋、呼吸筋及び四肢筋等の麻痺が起
こる。
従来までの予防接種によりジフテリア患者が著明に減少していること
から、その効果は明らかである。また、厚生省伝染病流行予測調査報告
(平成2年度)によると、1981年に導入されたDPTワクチン接
種後のジフテリア免疫は1983年以前の調査成績と比較して同等又はそ
れ以上である。この調査の長年にわたる報告の結果は、我が国における
ジフテリア免疫が全面的に予防接種に依存しており、予防接種スケジュ
ール及びワクチンの変更がそのまま免疫状態に反映されてきたことを示
している。日本ではジフテリア菌の分離は近年まれであるが、ジフテリ
アの保菌者は多い可能性があること、ロシア等の流行を考えると、海外
からジフテリア菌が持ち込まれる危険性もあることなどから、今後もな
お一定レベルの免疫の維持が必要である。前述した接種方法で行うと、
血清中の抗毒素は0.03u/ml以上に保たれ、約10年間は持続する。