麻疹ウイルスによる全身感染症である。ウイルスは飛沫感染する。
上気道の局所リンパ節での増殖後、一次ウイルス血症、二次ウイルス血
症を来す。ウイルスはリンパ球で増殖する。血中抗体ができ始めた時、
アレルギー反応として、紅斑を生じる。抗体ができると、ウイルスは速
やかに血中から排除される。ウイルスは、カタル期のはじめから発疹出
現後6日程度まで、咽頭に証明される。
ウイルス感染約10日後、中等度発熱及びカタル症状が始まり、コプ
リック斑(頬粘膜に形成された巨細胞)が出現、2〜3日発熱が続いて
から、高熱とともに発疹が出現する。発疹は、3〜4日で色素沈着を残
して消退する。
麻疹ウイルス感染により、免疫機能低下を来すため、易感染性となり、
肺炎(二次感染)、中耳炎を合併する。かつては、結核の増悪が知られ
ていた。脳炎の合併率は、2000〜3000人に1人である。亜急性硬化
性全脳炎(SSPE)の発症は、1970〜1978年に麻疹に罹患した症例に
ついて調査した1993年の報告では100万人に21人(48000人に1人)
である。
麻疹ワクチンの効果は非常に高く、各社の接種試験成績によれば、
麻疹ワクチン接種により、被接種者の95%以上が免疫を獲得する。
ワクチンによる免疫は通常一生涯持続するが、ワクチン接種を受けたも
のの中で、その後に麻疹に罹患するものが数%ある。この中には、ワク
チンそのものに力価が低下していたために、ワクチンの効果がなかった
場合(primary vaccine failure)とワクチンによって獲得された免疫が
持続しなかった場合(secondary vaccine failure)とが含まれている。
我が国では、ワクチン輸送の際のコールドチェーンが完備しているので、
前者よりは後者の方がが多いと考えられる。また、感染症サーベイランス
に報告された麻疹患者のうち麻疹ワクチン歴のあるものは2%以下
であり、SSPEも減少している。これらのことからも麻疹ワクチンが
有効であることがわかる。