日本脳炎は潜伏期7〜10日、突然の高熱、頭痛、嘔吐、意識障害及び
痙攣等を主徴とするウイルス性の急性脳炎である。かつては死亡、後遺
症がそれぞれ約30%といわれ、現在では死亡率15%程度と考えられて
いるが、なお神経学的後遺症を残す例が多い。感染者1000〜5000人
に1人が脳炎を発症すると考えられている。脳炎以外に不全型無菌性髄膜炎、
夏かぜ様疾患もみられる。
最近では毎年10〜30人程度が西日本地区を中心に発症する。多発年
齢は60歳を中心とした成人とまれに5歳未満の幼児である。かつて好発
年齢であった小児、学童は、予防接種対象年齢にあたっており、現在
はほとんど発症がみられなくなった。
食用として毎年多数出生、飼育されているブタが日本脳炎ウイルスの
増殖動物とされている。豚間の流行は毎年6月頃より始まり、関東以南
では多くの県で10月までに80%以上の感染率を示す。ブタからヒトへ
の感染はコガタアカイエカを介する。ヒトは終末宿主であり、ヒトから
ヒトへのウイルスの伝播はない。自然界における宿主や日本への伝播経
路などについてはなお不明な点が多い。日本脳炎は日本以外にも、極東、
東南アジア及び東アジアに広く分布し、患者が多発している。
初回接種2回と次年度の追加接種1回の計3回の接種をもって基礎免
疫の完了と考える。抗体産生は良好である。基礎免疫後4年程度は抗体
が持続する。台湾やタイでの大規模な野外接種試験では日本脳炎ワクチ
ン2回接種群は80%以上の有効率を示し、非接種群に比して自然感染
に対する優れた防御能を示した。