百日咳の病態には3つの段階がある。カタル期には感冒様症状が約
1〜2週ほど続き、次に痙咳期という典型的な症状が認められる。連続
性の激しい咳嗽が発作性に起こり、息を吸う間がないため、静脈圧の亢
進によって顔面の紅潮、眼瞼浮腫、顔面の点状出血及び眼球結膜の出血
等が現れる。咳発作の後に急に息を吸うので吸気性の笛音が聞かれる。
咳嗽発作の無いときは全く正常の状態であることが他の気道疾患と異な
る。乳児期には無呼吸発作のためチアノーゼ、けいれんを起こすことが
ある。また、脳症を起こし、重い後遺症を起こすことがある。この激し
い咳発作の回数は次第に減少してくるが、多くは2ヵ月程残る。回復期
に入ると発作回数は減少するがこの間感冒などに罹患すると典型的発作
が時としてみられる。2〜3週間で治癒する。
現行の百日咳ワクチンの効果は、1970年代後半に再流行した百日
咳がこのワクチン導入後漸減し、1990年代に入ってからは、1970
年代前半の患者数に近く、流行が完全に阻止されたことから明らかであ
る。また、百日咳ワクチン導入後の家族内感染防止効果をみると家族
内で百日咳が発生したときに、百日咳ワクチンを接種していたもの
は非接種者に対し、約90%以上の発症防止効果があったことが確認さ
れている。ワクチン接種後にはこれに含有される感染防御抗原(PT:
百日咳毒素、FHA:繊維状赤血球凝集素)に対する一定の抗体が産
生され、発病予防効果を得る。厚生省伝染病流行予測調査報告(平成2
年度)によれば、これら両抗体保有状況とワクチン接種歴がほぼ一致す
るとされ、血清学的にもワクチン接種の効果が証明されている。しかし
ながら発病阻止に必要な抗体レベルはいまだ不明で、我が国で製造され
ている6製品の組成も一定していない。