ポリオウイルスの宿主はヒトだけであり、他の動物への感染はない。
また媒介生物も生存しない。したがって感染はヒトからヒトへの伝播の
みであり、糞便中に排泄されたウイルスが経口又は咽頭から生体に侵入
する。このウイルスの感染症のほとんどは症状を呈しない不顕性感染に
終わり、終生免疫を獲得する。5〜10%に夏かぜ症候群とよばれる軽症
の上気道炎又は胃腸炎症状を呈し、夏期に流行する。感染者の1000〜
2000人に1人に麻痺を生じ、一部のものは永久麻痺を残す。感染から
発症までの潜伏期間は4〜35日(平均15日)である。
腸管粘膜細胞で増殖したウイルスが、流血中に侵入し、中枢神経系臓
器を標的にして、ここで再増殖する。脊髄前角細胞は、このウイルスの
主な標的であり、ここの炎症の結果同例上下肢に弛緩性麻痺を生ずる。
ときに上行性に病変が広がり、横隔膜神経麻痺や延髄麻痺を生じて呼吸
不全を起こし、死の転帰をとることもある。
ワクチンに含まれる3型のウイルス株がすべて十分に増殖すれば、接種
後4〜6週間で終生免疫が得られる。1回の接種で3型すべてのウイル
スが増殖しないことがあるので、抗体を獲得できなかった型のウイルス
に対する免疫を賦与するために複数回接種する。ワクチン接種による予
防効果に関しては、我が国をはじめ、多くの地域で野性株によるポリオ
根絶に成功したことで確認されている。